三鈷室山入口の手前にあるこの石碑は、里川集落近隣の開発過程と三鈷室山を中心とする山岳信仰を結びつけた伝説を伝えています。碑文は、前鱗勝院主・隆豊が撰文し、彰考館総裁・立原翠軒が添削を担当しました。碑文には、宝亀7(776)年に行基大師が里川町付近を訪れた際、狼による被害が多いことを聞き、これを取り除こうと供養を行ったこと、その後、狼害が減るにつれて人々が祀りを忘れ、再び狼の被害が増えたこと、そして妙見菩薩を祭ることで被害が再び収まり、地域に平穏が訪れたことなどが記されています。碑そのものは、願主の修験権大僧都法印一僧祗・祐観によって建てられたもので、碑のかたわらには祐観の墓石がひっそりと建っています。こうした経緯を持つ石碑は大変珍しく、民俗学的にも高い価値があります。
里美地区 |
常陸太田市里川町49-1 |
0294-72-8071(観光振興課) |